お金をかけなくても、「居心地のいい薬局」はつくれる

開業当初、限られた予算の中で一番こだわったのは、患者さまにとっての「居心地の良さ」でした。椅子や棚、壁の飾りなど、小さな工夫を重ねてきた薬局づくりについてお話しします。
えがお薬局をつくるとき、一番こだわったことは何だったか。
あらためて考えてみると、やっぱり「居心地の良さ」だったと思います。
正直に言えば、開業当初はそれほど予算に余裕があったわけではありません。
できるだけ小さな形から、自分がやりたいと思う薬局を始めたい。そんな思いでのスタートでした。
だからこそ、限られた予算の中で「どうすれば来てくださる方に気持ちよく過ごしてもらえるだろう」と、一つひとつ考えていきました。
椅子ひとつにも、ずいぶん悩みました
たとえば、待合室の椅子です。
椅子を選ぶときに考えたのが、ご高齢の方や腰に不安のある方のことでした。
座面が深すぎる椅子だと、立ったり座ったりするのが大変かもしれない。だからといって、浅すぎたり背もたれが直角すぎたりすると、今度は座っていて落ち着きません。
「立ち座りがしやすくて、それでもちゃんと座り心地がいいものはないかな」
そんなことを考えながら探していたので、椅子を決めるだけでもずいぶん時間がかかりました。
高価なものを選ぶのではなく、予算の中でできるだけ使いやすいものを探す。
今振り返ると、そんなところにも、えがお薬局をつくるときの考え方が表れていたように思います。
3か月後に来たとき、少し景色が変わっている
薬局の中の棚や壁についても、いろいろ考えました。
OTC医薬品などを置く棚は、見やすい位置に置けるように手作りのものを用意しました。
壁も、大掛かりな装飾をするのではなく、貼ったり剥がしたりできるものを使えば、季節に合わせて雰囲気を変えられるんじゃないかと考えました。
薬局には、毎月来られる方もいれば、3か月、4か月に一度来られる方もいます。
久しぶりに来たときに、
「前とちょっと変わったね」
そんな小さな変化に気づいてもらえたら、それだけで会話のきっかけになるかもしれません。
春、夏、秋、冬と少しずつ薬局の景色が変わる。壁をふと見たときに、ほんの少し気持ちがほっとする。
そのくらいの小さなことでもいいと思っています。
小さなお子さまから、ご高齢の方まで
えがお薬局には、小さなお子さまからご高齢の方まで、さまざまな方が来られます。
開業するときから、お子さまが来ることも考えていました。
待っている間に本を読んだり、ちょっとしたパズルで遊んだりできる。そんな場所があったらいいなと思い、ここも試行錯誤しながらつくっていきました。
薬局は、どうしても「薬を受け取るために行く場所」という印象があると思います。
だからこそ、せっかく足を運んでいただくのであれば、少しでも入りやすく、過ごしやすい場所にしたい。
「薬局に行くのが楽しみ」とまではいかなくても、来たときに少し気持ちがほっとする。
開業したときから、そんな場所をつくりたいと思ってきました。
大きなお金をかけることはできなくても、椅子ひとつ、棚ひとつ、壁のちょっとした変化ひとつにも、できることはあります。
これからも、来てくださる方の目線で考えながら、少しずつ居心地のいい薬局をつくっていきたいと思っています。


